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象牙色の立体

映画などについて書きます。

ピッチ・パーフェクトを観た

ピッチパーフェクト観た。

 

最高すぎる映画だった。今年ベスト10に入る。

 

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あらすじ

ダメダメなガールズアカペラ部。唯一の武器は強烈な個性!? 彼女たちが一つになったとき、信じられない音色を奏でだす! 全ての女子を元気づける!キュンかわ♪ガールズムービー!

 

...あらすじの文言がやばいな。実際は全然「キュンかわ♪」じゃなく、超弩級の下ネタ満載、下品上等!ゲロまみれの青春殴り合いムービー!という感じ。キュンかわ♪を目当てにみたらおそらく記憶を失くす。

 

まずこの映画、演出が跳びぬけて面白い。アカペラという今まで使い古されたような題材を、演出と選曲によって全く新しい映画に仕上げている。しかもそれはアカペラのシーンだけに留まらず、BGMも主人公のアナケンドリックがMIXした音楽として見せたり、最初のオーディションのシーンの参加者全員を一つの楽曲で見せたりと飽きさせない数多くの工夫があり、こういった省略話法のおかげで、本来は2時間30分ほどの長さになるはずなのに、2時間以内に収まっているうえに、内容も素早く展開にグルーブ感も生み出している。

 

素晴らしい入部オーディションシーン/一つの曲だけで入部オーディションメンバー全員を紹介する離れ業

 

過激な下ネタや選曲に至るまでも、今までのアカペラやゴスペル映画とは一線を画してやるという挑戦心にあふれているし、 また、そんな監督たちの作品に対する気概が「古かったものを、彼らの特徴を取り入れて新しいものにすることで勝利を得る」というこの映画自体のストーリーと見事に組み合わさっているところも面白い。

 

 

内容自体は緊張するとゲロを吐く部長が主人公の女子アカペラ部で、新入生のアナケンドリックが頑張るという話で、良くあるスポ根王道の物語だし、王道を貫いているのがいい!ということを言っている人も多く見られる。確かに王道をしっかりやることも素晴らしいと思うが、この映画の最大の魅力はラストに至る多幸感だ。

 

まとまらなかったチームが、一旦挫折を味わい、再度それぞれの個性を見直して挑戦して勝利するという普遍的なテーマの中で、この映画が最も変わっている点というのが、ライバルである男子ゴスペル部との関係だ。当然"ライバル"である男子部は、王道ならば、最後は女子部に負けなければならないのが当然だ。そして男子部は悔しがり、女子部は鼻を明かしてめでたしである。ただ、この映画はそうはならない。

 

この映画のラストのアカペラバトルで彼女たちが歌うシーンは、男子部を含めた全員が彼女たちを賞賛し、そして皆で踊りまくるという多幸感溢れる展開になっているのである。ではなぜ、敵対していた男子部も巻き込んでこの"奇跡的"とも言える素晴らしいシークエンスが出来上がっているのか。

 

 


チームが纏まったことを示したアカペラシーンもよい/ブルーノマーズという選曲も絶妙だし、それぞれのパートが始まるところでちゃんとパートを歌ってる人のミディアムクローズアップを撮っているというのが地味に上手い。

 

 

関係ないが、アナケンドリックはマイレージマイライフでカラオケ歌ってた頃から売れると思ってたよ。

 

 

 

 

ーーー以下ネタバレーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

男子部も巻き込んだこの"奇跡的"とも言えるラストの素晴らしいシークエンス。それが実現したのは、男子部の変化も丁寧に描いたことにある。この映画の男子部側のストーリーは、その男子部に憧れているが嫌味な部長のせいで入部できなかった新入生の子がいるのだが、終盤でこの嫌味な部長がこれまた嫌な理由でやめてしまったことをきっかけに、急遽入部してアカペラに挑みそして成功するというサクセスストーリーになっている。男子部もただ負ける、というわけではなく正しく勝利しているのだ。これによって、女子部と男子部のわだかまりを解消するという手段を取っているのが実に上手い。さらにこれによって、アナケンドリックがラブストーリー的展開を見せていた男の子が、男子部の部長的 位置に偶然上がることになり、恋愛と成功のダブル効果で男子部と女子部の関係が自然に修復されて、大団円へと向かうのである。

 

つまり、一見分かりにくいが非常に上手い脚本と、斬新な演出によって確実にエポックメイキングな作品に仕上がっている。これは傑作だ。