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象牙色の立体

映画などについて書きます。

進撃の巨人 後編 エンドオブザワールド

進撃の巨人 後編 エンドオブザワールドを観た。

 

うむ。これはよくない。前編があれだけよかっただけに、後編はあまりよくないかもしれないとは覚悟していたが、この映画のよくない性質は、よくないということすら面倒になる「よくなさ」であるのは問題だ。

 

 

 

 

※ ネタばれ全開です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、この映画のおかしいシーンを挙げていく。

 

まず、エレンが巨人になって爆弾を運ぶシーンがあるのだが、爆弾を置くまでに意識がもうろうとしてしまい、ミカサがそれを起こすためにエレン(巨人)の背中に剣を突き立てるという展開がある。だが、この緊張的な盛り上がるべきシーンの途中で、全く関係ない石原さとみが生きていたということを明らかにするギャグじみたシーンに急に飛んでしまうのだ。こちらとしては、せっかくハラハラしているのに、ここで展開がぶつ切りになってしまうのはひどい。二つの展開をクロスオーバーするのであれば、緊張感のあるシーン同士をやるべきだ。あのシーンを途中で挟む必然性が思いつかない。この編集はいくらなんでも酷いと思う。

 

次に、超大型巨人との決着のシーンの、シキシマの急な心変わりの動機が理解しがたい。ミカサに一言「あなたの壁は?」のようなことを言われたとたんに、超大型巨人に対抗する男になってしまう。それまでの内容にはこの展開に示唆的なシーンもなく、あまりに唐突すぎるので戸惑ってしまうし、正直このラストのせいですべてがどうでもよくなってしまう。軽く助言されただけで、今までの苦労をすべて投げうってあのような行動に出るだろうか。もっと深い理由や隠された演出があるのかもしれないが、個人的にはそのように見えてしまった。

 

そもそも後編でのシキシマはまったく性格が一貫しておらず、どのような人物か理解することができない。2001年的な地下のシーンでは、気取ったキャラクターを演じていたかと思えば、急に悔しがり感情的になりだしたりする情緒不安定な男だ。映画秘宝によると、町山さんはファイトクラブタイラー・ダーデンをオマージュしたらしいが、タイラーダーデンは軽く助言されただけで心変わりするような人間ではないと思うのです。

 

さらに、知性ある超大型巨人は、最後に壁をふさぐための爆弾を除去しようとするが、そもそも穴は超大型巨人が開けたものなのである。別に爆弾を除去するなどといったまどろっこしいことなどせずに、横に移動して壁を蹴ったら別の穴ができてもっと絶望を与えられると思うのだが、だれもそれに気づかない。エレンたちも、爆弾を爆発させるよりも、総力を挙げて超大型巨人を無力化することにまず尽力すべきだろう。巨人化すると思考が弱まるというが、國村隼が馬鹿になって本当に助かった。

 

さらにいえば、超大型巨人が爆弾で穴をふさぐことを阻止しようとする理由が不明だ。國村隼巨人化すると爆弾をつまむような行動をなぜかとりだすので、必然性があるように思えてしまうが、そもそも國村隼が爆弾で穴をふさぐことを阻止することにメリットはあるのだろうか。なぜならば、その前に國村隼はエレンたちが穴をふさぐために爆弾を設置したことを称賛したのだ。その後、「巨人化するエレンをこちらに渡し、壁を守り続ければ君たちの安全を保障する」といった旨のことを言う。つまり、國村隼はエレンを殺したいというのがまず最初の目的のはずだ。ならば巨人化した後、反逆してきた彼らを殺していけばそれで終わりだろう。後は「穴を防いだが、壁に帰るまでに巨人に食われた英雄」として民衆に伝えれば万事解決である。にもかかわらず、巨人化すると爆弾を取り除こうとするのはなぜか。

 

最後に、ラストシーンは猿の惑星のオマージュなのは分かるが、ちらちらとそれまでにその衝撃の光景をなぜか小出しに見せられてしまうので、結果ドーンと真実の景色を観せられた時にまったくカタルシスが起こらない。ドーンと観せるラストまでは、エレンやミカサの感動したような顔だけを映しておけばよい。しかも東京タワーは小さすぎて、気づかない人もいると思うし、あといろいろな雑誌や簡単なコラムでさえ、公開前からすでに舞台が日本であると頻繁にいわれているので、別に衝撃はない。

 

前編ではアクションや巨人の描写、とラストの展開が本当に良かったので、他のアラには全然目を瞑ることができた。でも後編ではその感動が薄まり、かつアラはそのままな上に、展開も想定内で無難な解決をしているので取り立てて批判することもなく、しかもアラ自体も前編と本質的には同じなので、いまさら怒るような気力もない。だがそれでもそこそこ映画自体は観れるので、まあそこまで退屈することもない。あまりにひどいとそれはそれで楽しいのだが..

 

前編は何度か観たいが、後編は本当にどうでもいい映画であった。