読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

象牙色の立体

映画などについて書きます。

人格を形成したいくつかの映画群 ー洋画編ー

私の人格を形成もしくは表現しているいくつかの映画群について今回は記述します。所謂オールタイムベストのようなものですね。今回は、私が最も面白い!と思った映画順に記述するのではなく、私は「こういうものが好きだ」ということを明示するような特別な映画群について記述しようと思います。そのため必ずしも面白い映画とは限らず、個人的な好みを紹介しようと思うので、宜しくお願いします。

 

 


ファントム・オブ・パラダイス

f:id:solidivory:20150423035419j:plain

オペラ座の怪人ファウストのストーリーを軸に、70年代ロックンロールの狂乱を描いたブライアン・デ・パルマ監督の最高傑作。この辺りのデ・パルマは映画の神が憑依していると思うほど素晴らしい映画ばかり撮っているが、その中でも最も好きな逸品。デパルマのカチャカチャとしたスピード感のある編集とロックミュージカルというテーマがまさに渾然一体となり、終盤に向かうにつれて破滅的にそのグルーブ感が増していく。ラストはそのグルーヴ感がもはや臨界点を超えてしまい、最初に観たときはトリップ状態に陥ってしまったほどの、まさにドラッグ的作品である。

 

主人公が愛する女性と音楽のためだけにただ破滅に向かっていくストーリーも最高だが、この映画の真に素晴らしい点は、映画の持つ奇跡が全編に詰まっていることだろう。全てを列挙するときりがないので、特に中盤のあるシーンだけを紹介する。

 

主人公の愛する売れない歌手フェニックスのために書いた曲を、その劇場を取り仕切るスワンにボツにされて、さらには謎のヴィジュアル系ロックバンドにフェニックスの歌う場を奪われてしまったことで、主人公が発狂し、そのヴィジュアル系ロックバンドをステージ上で殺害してしまう場面。それでも興行をやめられないスワンは、やもなくフェニックスを舞台に出すが、喧騒は全く鳴り止まない。彼女は全く、観客に望まれていないのだ。しかし、彼女が歌い始めた途端、その彼女の歌声が持つ力だけで一気に観客が引き込まれてしまう。我々観客も一気に引き込まれる。画面から目が離せなくなる。まさに映画が魅せる奇跡的瞬間だ。このような奇跡的な一瞬を切り取ってしまうのが、映画が持つ最も純粋に素晴らしい部分であると思う。

 


GOODBYE, EDDIE, GOODBYE - The Juicy Fruits (1974) 

 ファントムオブパラダイス/オープニングシーン

 

汚れた血

f:id:solidivory:20150423035432j:plain

私が初めてこの映画を観終わったとき、大きく感動すると同時に深く絶望してしまった。

 

その理由は、私はまだ映画を撮れば凡百の監督よりも上手く映画を撮ることができるかもしれないという謎の中二病的自信を、この映画のせいで完全に打ち砕かれたからである。それぐらいこの汚れた血は、まさに「天才が撮った映画」だった。この映画を撮影したレオス・カラックスは、この映画を撮影時に弱冠25歳で、今の私と年齢は大差がない。この作品でデビュー2本目であった。にもかかわらず、圧倒的な画面構築力と色覚センス、音楽センス、終盤に至るグルーヴ感。確かにストーリーにアラは多く、これなら凡百の人間が考えることはできそうではあった。しかし、だからこそ、そのストーリーのアラをものともせず、映画だけが持つ画面支配力と25歳という若さが持ち合わせる映画界に対する反動や衝動だけでこのような大傑作を撮り、しかもヌーヴェルヴァーグを完全に過去のものにしてしまったことに絶望してしまったのだ。

 

ある人間を尊敬してしまった時点で、決してその人間を超えることはできない。当時この映画を観たおかげで、私は映画監督になるというぼんやりとした夢をキッパリと諦めた。フランス映画をベストに入れるのはカッコつけすぎかもしれないが、 それでもこの「汚れた血」だけは外せない。

 


Modern Love - YouTube

特にデヴィッド・ボウイのModern loveに乗せて主人公が疾走するシーンは、若さと演出力が爆発した白眉のシーンである。

 

ファイト・クラブ

f:id:solidivory:20150423035443j:plain

思春期に観てしまったせいで、現在の精神を形成した映画であり、この映画がなければおそらく今のような道には進んではいない。ファイト・クラブはその分かれ道となった映画だ。この映画に関しては、皆さんが色々と批評しているので特に私から言うことはないが、ブラッド・ピットが演じるタイラー・ダーデンが我々観客を見つめて言う一文を引用したい。

 

「どんな職業についているかでお前は決まらない。預金残高とも関係ない。持ってる車も関係ない。財布の中身も関係ない。クソみたいなファッションも関係ない。お前らは、あらゆる付属品がついている世の中のゴミだ。それを知っておけ。」

 

お前の価値は、お前についている付加情報で決まるのではない。そんなものは関係なく、お前の今の思考と行動によってすべての価値がきまるのだ。タイラーダーデンがこう言い放った後、彼の強すぎる思念の熱さのせいで画面が焼き切れて歪み、消失する。

 

ビッグ・リボウスキ

f:id:solidivory:20150423035459j:plain

 人生とは一体何なのか。映画が描く重要なテーマの一つだ。そしてそれは、この映画によると、「人生はよくわからないものだ。」ということだった。

 

ビッグ・リボウスキは、主人公がマリファナ大好きでボウリング大好きなニート男(ジェフ・ブリッジス)と、瞬間湯沸かし器の激情型人間である友人(ジョン・グッドマン)がひょんなことから大富豪に婦人誘拐事件を解決しろと依頼されるが...という話である。しかし、このニート男がどれだけ一生懸命に事件を解決しようとしても、友人の愚行や変人奇人の意味不明な行動によってどんどん悪い方向に転んでいってしまう。

 

物事はついに極端に悪い方向に転んでいき、命の危険させ迫りつつあるにもかかわらず、主人公は常にあっけらかんとしている。起こってしまうハプニングに対していつも諦観的でありながらも、いまやらなければならないことに自分なりに一生懸命に取り組んでいく。そして、いつのまにか主人公は、映画が始まったもとの場所に戻っているのである。

 

この映画をはじめとした、コーエン兄弟の作品がいつも思い出させてくれるのは、自分の熱意や努力だけで解決できないこともたくさんあるということだ。自分の熱意や努力だけで全ての物事を切り開くことができると考えているのは人間の驕りである。問題を解決してくれたり悪化させたりするのは、偶然に起こった出来事であり、偶然に出会った人間との関係であることも多々あるという事実を受けとめたい。いい縁であっても悪い縁であっても、それを気楽に受け入れてそのままやっていこうではないか。

 

 

 

 

コンスタンティン

f:id:solidivory:20150423035510j:plain

私の中二病最盛期、特にドンピシャとハマった映画が「コンスタンティン」と「マトリックス・リローデット」だ。両者とも主演はキアヌ・リーブスである。その中でも今回コンスタンティンを選んだのは、今でもちゃんと楽しく観れるという理由から。

 

この世界は天国、地獄、現世に分かれており、そこで主人公は悪魔払いをやっている。なぜ主人公が悪魔払いをやっているかというと、彼は過去に自殺未遂しており(キリスト教では自殺すると地獄に落ちるので)、人助けをいっぱいして神様に今までの悪行を容赦してもらう作戦なのだ。つまり人助けは全て自分のため。しかもタバコをアホみたいに吸いすぎて末期がんになっているので、急いで人を助けまくらないと間に合わない。「早くみんなを助けまくって神様に認められ、天国に行こうぜ!」というストーリーだ。

 

そう、この映画の最大の魅力は徹頭徹尾バカバカしいまでに中二病なところにあり、そこがどうしようもなくこの映画を愛おしいものにしている。

 

例えば、生きている人間の「地獄の行き方の異常なまでの詳しさ」もその中二病要素の一つだ。地獄の行き方なんて、こういう魔具を使って、チャチャっと覗けますよ〜なんて感じで普通の映画だとするところだが、この映画では地獄への訪問には水を触媒とし、まずは風呂に水を張って服を着たまま全身で浸かり、そこで約何秒間息を止め...などと全く必要のないディティールで詳しく説明されるので、妙にリアリティがある。

 

いろいろな悪魔払い用のガジェットもすごい。拳の部分が十字架になっている「聖なるメリケンサック」、発射口が十字になっている「聖なるショットガン」など、聖属性のエンチャントがついた武器がたくさん出てくる。

 

しかし、なによりも私が好きなのは、物語終盤で主人公が繰り出す技「両手の紋章を合わせることによって出現する謎のすごい現象」だ。これは本当に何が起きているのかよくわからないし、術式の途中で結局敵に発動を阻害されてしまったあげく、そのまま最後まで使わずに映画が終わるので、紋章が合わさると一体どうなるのか、公開から10年経った今でもわからないのだ!

 


Constantine - Into The Light - YouTube

この術式をみてから、Yシャツをめくることのかっこよさに気づいた。

 

 

次は邦画編です。

本当に好きな映画だけを選んだので、おさえている人はおさえているような結構つまらないリストアップになってしまった気がします。まだまだ好きな映画はあるので、また洋画編についてもやろうと思います。