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象牙色の立体

映画などについて書きます。

ゆるめるモ!というアイドルにハマった。

ゆるめるモ!というアイドルにハマってしまいました。最高でした。

 

ゆるめるモ!は田家プロデューサーという、もともと音楽好きでバンドもやってた普通のおっさんがももクロに触発されて、突発的に作ったアイドルグループだそうです。最初は街頭で300人ぐらいに「アイドルにならないか?」と誘ってそれで興味を示した人を集めて結成したそうです。いろんな意味でヤバいですね。

 

しかし、そんなアイドルグループを、アイドルオタの先輩に勧められて聴いたら完全にハマってしまいました。しかしアイドルってのは、普通の女の子だけでなく、普通のおっさんの夢を叶えることもできるんですね。

 

近年のアイドルソングというのは、ただのJ-POPではなく、ロック、EDM、テクノ、Hiphop、レゲエ、Jazzなどロック聡明期のころのように、ありとあらゆるジャンルの音楽を吸収し成長を続けています。それぞれのアイドルに引用している音楽のカラーがあり、それがゆるめるモ!は「ニューウェーヴ」なのですね。そしてこのニューウェーヴ」とアイドルの組み合わせというのはヤバすぎる。

 

 

 

 

まず、ゆるめるモ!全体を通じたオマージュのネタ元となっているのはNEU!(ノイ!)というバンドです。「!」も同じですし、最初のミニアルバム、New Escape Underground!の頭文字を取ると「NEU!」です。アルバムのジャケットもNEU!にリスペクトを捧げて、というか全く同じです。NEU!はドイツで誕生した前衛ロックのジャンルであるクラウトロックのひとつで、非常に速いビートであるハンマービートが特徴的なバンドです。

 

 

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ゆるめるモ!/New Escape Underground!

 

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NEU!/NEU!

 

 

70年代のドイツ前衛ロックとアイドルを組み合わせるってバカかよ!と最初は正直思いましたが、本心ではありがとうとも言いたい。その上、NEU!の代表曲であるHallo Galloをアイドル風にオマージュした10分以上の大作「SWEET ESCAPE」とか作ってしまっています。この田家というおっさんは、普通のおっさんですが、音楽センスは只者ではないですね。

 

そして、去年出た1stアルバムのUFOもとんでもなくすごい。アイドルとしてのポップ性を維持しながら、いろんな音楽をミックスしています。まるでザ・クラッシュのロンドン・コーリングのようだと言えば、それは言い過ぎかもしれませんが、そう言いたくもなります。

 

 

 

それぞれの曲の感想ですが、2.の「ゆるめるモん」はビートが完全にNEU!の2ndアルバムに収録されているNeuschnee 78です。いちいちチョイスが渋い。このハンマービートにのせるアイドルらしいメロディラインという組み合わせにまず心が掴まれます。

 


NEU! - Neuschnee 78 - YouTube 

やっぱNEU!のビート最高だな。ゆるめるモんと比較したいところですが、ありませんので買って比べてください。

 

3.の「逃げろ!!」は純正J-POPのようなアイドルソングですが、自殺をテーマにした曲で歌詞の出だしがいきなり「地獄」から始まります。

 

6.の「場viewer」はテクノヒップホップでアイドルのゆるいフローが最高で7.はスカ8.はテクノロック9.はミニマルディスコとそれぞれ異なるジャンルで攻めてきて、10.の「DO FUFU」は私が昔めちゃくちゃハマったPains of Being Pure at Heartみたいなガレージロックで、メロディも青臭くてよい。

 


The Pains Of Being Pure At Heart - "Young Adult ...

 

11.は普通のアイドルソングっぽいが、10種類ぐらいのアイドルソングのメロディをバラバラにして繋ぎ合わせたような変則的な進行をする奇怪な曲。若干サニーデイ・サービスっぽい雰囲気も感じます。最後の「趣味は無趣味ー♪ うそうそうそ海ー♪」という超適当な韻の踏み方も素晴らしい。

 

ここまで来てもう十分なのに、11と12が最も凄い。11.「OO(ラブ)」はテクノポップっぽいけど6分以上あり、終盤の陶酔感は感動的。これはどういうイメージなんだろう。個人的にはFISHMANSを聴いたときの感覚に似ていました。12.はこれも同じく私が大好きな、どう考えてもドラッグをキメて作ってるとしか思えない曲を作るアメリカのサイケバンド、Animal Collectiveの初期のオマージュという、良い意味での趣味の悪さ!

  


Animal Collective - 'Fireworks' (2007) - YouTube

Animal Collectiveの一番好きな曲

 

 

 

 ...駆け抜けましたが、つまりまとめるとこうです。

 

ビースティボーイズのオマージュから始まって、普通のアイドルソングが来たかと思ったら、次はヒップホップ、スカ、テクノロック、ミニマルディスコと来て、ガレージロックかと思ったら陶酔感のあるテクノポップがきて、最後はアニマルコレクティヴという展開。

 

何度も言うがこのおっさんはやはり只者ではない。そして、私のような根暗でキモい音楽ファンにとっては最高のオマージュセンスなのです。

 

そして、そんなおっさんのもとに集まるのだから、やはりメンバーも曲者ぞろい。メンバーのちーぼうは変人で面白いですが、あのちゃんも相当ロックです。あのちゃんの生誕イベントのレポを引用すると、

 

 

”歌い終えたあのは、涙を流しながら「なんだよ! かかってこいや!」と観客を挑発。どうして泣いているのかわからず困惑する観客に向けて、彼女は「だってこういうの嫌いだもん。こんなに全力出してるんだから、みんなも全力で来てください!」と叫ぶ。どんどんエモーショナルになっていく彼女の佇まいに飲み込まれ、客席もますます異様な熱気に。”


ゆるめるモ!あの生誕祭でスーツ燃やせと号泣 - 音楽ナタリー

 

あのちゃんまじロック。

 

ロックというのは、初期衝動であるとよく言われますね。自分のうちに抱える鬱屈した感情や衝動を音楽にして、発散するのがロックです。そのときに、演奏の上手さや、歌のうまさなんて関係ありません。生まれつき歌が上手い人を主人公にしたロックバンドの物語などがありますが、歌の上手さとロックなんて関係ない。本来、自分の爆発しそうな感情を音楽によって表現したいという気持ちで生まれたのがロックでしたよね。セックスピストルズだって、ストーンローゼスだって、歌も演奏も下手ですがその衝動で数多くの人を虜にして、フォロワーを生み出しました。

 

アンダーグラウンドのシーンはともかく、最近のメインストリームに位置するようなJ-ロックは演奏の上手さ、歌の上手さのみで評価されることがどれだけ多いでしょうか。こうすれば上手くなる、これが世間に受ければいい、という技術向上や小手先の方法論にのみ終始していないでしょうか。そんな「曲がロックっぽいだけの音楽」を演奏している、反骨精神も微塵もない現在のような風潮に比べれば、いままで自己表現の方法を模索して悩んでいた女の子と、尖ったロック精神を捨てられずに一度はバンドを諦めてしまったおっさんが手を組んで作った音楽の方がどれだけロックなのでしょうか。

 

 

今、日本でロック精神を受け継いでいるのは案外アイドルなのかもしれませんよ。

 

 


ゆるめるモ! "OO(ラブ)" (Official Music Video) - YouTube

最後に、私がお気に入りのOO(ラブ)を貼っておきます。

 

 

 

Unforgettable Final Odyssey

Unforgettable Final Odyssey