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象牙色の立体

映画などについて書きます。

2014年映画感想総括

あるジャズ演奏家「誰でも奇を衒うことはできる。しかし、本当に難しいことは、なるべくシンプルにすることであり、それこそが想像性なのだ。」と言いました。

 

真の創造性というのは、アイデアを骨格しか残らなくなるくらいに削り込んでもなお驚きや新鮮さが残るようなものを生み出すことであると思います。そしてそれは、強力なアイデアとそのアイデアへの絶対的な自信がなければ成し得ないことです。いろんなものを詰め込むと、言わばそれだけ弾を打っていることになるので「なんか良い感じ」にはなるのかもしれませんが美しくはないです。世の中は「詰め込む」よりも「削り込む」ほうが難しいのです。私もそのような「削り込み」に耐えうる強烈なアイデアを生み出したいものですね。

 

 

さて、2014年の映画は「削り込む」タイプの面白い映画が多かった気がします。早速ランキングです。上位になるに従って感想が長くなっているのは自分の熱量の違いです。予告編を貼るのは面倒なのでやめます...が!

 

その前に、来年公開の「超期待作」の予告編を貼っておきます。

 


映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』日本版予告編 - YouTube

 この予告編の良さよ...

序盤の男が舞台裏を歩いているところから、髪への霧吹き、舞台への扉を叩くところまでを1カットで撮影しながらBGMは「Gnarls Barkley /  Crazy」というもはや色気しかないシーンのあと、主人公とバードマンの鳥の羽が重なり、あたかも本人に翼が生えて勇気をもらったかのように微笑むと鳥の機械が現れてヘリが墜落、唐突に男の頭に金属塊が落下、主人公が裸で街を闊歩、Eノートンとの殴り合いというどう考えてもぶっ飛んだ映画としか思えない流れ。しかもBGMはDon't let me misunderstand(キルビル vol.1で使われていた時とはまた違うアレンジ!)という...ああ、最高。はやく観たい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい。

 

行きましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10.ゴジラ

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ハワイ上陸シーンの大咆哮と、放射能火炎をみれればそれだけで満足です!

 

 

9.her 世界に一つの彼女

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人工知能OSが出来た世界でOSと実際に恋をしたら」という思考実験を試みていますが、それがとんでもない方向に転がるのが楽しかったです。

 

8.ホビット  龍に奪われた王国

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断然ホビット三部作のなかでは「龍に奪われた王国」派。ケレン味溢れるサウロン爆誕や黄金に包まれるドラゴン、港町の空撮など見所多し。

 

7.リアリティのダンス

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主人公の父親が大工の老人(おそらくキリスト)と椅子を作り続けて画面いっぱいが椅子で埋め尽くされたり、その椅子をみんなで持って賛美歌を歌ったり、暗闇に慣れるために自分の体を真っ黒に塗ったり、海に石を投げると海が怒って大量の魚が打ち上げられたり、奥さんの小便をかぶると旦那がペストから復活したり...映画的なアイデアに満ちたシーンの連続で見ている間、ずっと感動してました。

 

6.インサイドルーウィンデイヴィス

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 負け犬だった主人公がこのままではいけないと自分探しの旅に出るけど、最後になっても結局1mmくらいしか成長してないし、それでも人生は流れていくというのがいかにもコーエン兄弟らしかったです。そういう映画が大好物なんです。今年は、雪が降ったときには必ず挿入歌である「hang me, Oh hang me」をiPhoneで聴いています。

 


Hang Me, Oh Hang Me - Oscar Isaac - YouTube

 

5.ネブラスカ 二つの心をつなぐ旅

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表面上は取り繕っていたとしても、微妙な心境の変化や、心の芯にある部分をさりげない演出でみせるのが絶妙にうまい映画でした。親父の本音吐露シーンで気づいたら泣いていました。気づいたら泣いている映画に悪い映画なんてない。撮影も素晴らしく、風景の中での人物を捉えるのも絶妙にうまいです。人間が世界の中に溶け込んで生活していることを表すと同時に、人間に関係なく世界は回っていくことを暗示しているようです。

 

4.ある優しき殺人者の記録

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「渇き。」など今年は日本映画でも苛烈なエンタメ作品が多かったですが、私はその中でも「ある優しき殺人者の記録」が断然面白かったです。90分間1カットで、映画内の時間も90分。1カットにすることで、この話が現実であることを観客に錯覚させた上で、「何を思おうと目の前で起こっていることが真実ですよ!」という説得力を持たせる。それがラストでとんでもないことが起こり、頭が混乱してしまって、

 

...いやはや、これこそが映画体験ですね。

 

3.たまこラブストーリー

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もち屋の娘たまこが葛藤しながらも徐々に成長し、幼馴染のもち蔵から投げられた告白を最後にたまこが受け止めるまでの至ってシンプルな物語。演出面も、もち蔵の想いを「糸電話」に、たまこの気持ちを「バトン」に、そして告白されて返事を返すという行為を「カセットテープ」に象徴させているというさりげなさ。特に「カセットテープ」です。たまこがもち蔵に返事を返すべきか深く悩んでいるときに、父親が高校時代に母親に送った歌のテープを聴いていると、ふとA面からB面に文字通り「リバース」され、母親が歌う父親の曲への「回答」となる曲が流れます。自分の母親が、父親にきちんと返事していたという事実を知ったたまこが、もち蔵に返事を決意する瞬間をこのような自然な描写で表現することの凄さですよ!

 

普通は気づかないようなさりげない演出を少しずつ積み重ねていくことが、ラスト10分で訪れる大きな感動を生み出しています。愛すべき傑作でした。

 

2.ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

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宇宙冒険活劇とポップソングをウォークマンによって組み合わせるというアイデアがまず凄い。それだけでなく「普通ならそれだけで映画一本分を作れるくらいのアイデア 」で溢れていた作品でした。そのアイデアはたとえどこまで削り込んだとしても使える強力なアイデアたちばかり。そして、これらの素晴らしいアイデアで (いかにも自慢げに) 映画を引っ張らずに、それを矢継ぎ早に繰り出しては使い捨てています。なんという脳の無駄使いだ、贅沢すぎる。小説で言うと、ラファティボルヘスに感じる天才が持つ圧倒的なアイデア力というのを、この映画でも十二分に感じました。

 

とりあえずこのヤバすぎるオープニングシーン!!

 


Guardians of the Galaxy - Dancing Intro Scene ...

 

 

1.そこのみにて光輝く

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田舎の貧困による絶望と、その絶望の果てに一縷の希望がみえる一瞬までを丁寧に描いています。さりげない音楽と演出が抜群に効いており、真綿で首を絞められるように貧困に追い詰められていく感覚を、自然に味わうことができました。それでいて、紫陽花を握りつぶして出てきた草の汁を精液のメタファーにするなどといった強烈なシーンも唐突に入れてくるのが憎いですね。池脇千鶴(特にすばらしい!)と綾野剛の演技も自然ながら息苦しく、深い闇を抱えているのが登場した瞬間から感じ取ることができます。絶望に覆われた人生に、一縷の光がさす一瞬で終わるラストには感涙です。

 

希望には耐え難い中毒性があるのです。

 

 

 

ちなみに新作は4ー50本ほど観ているだけなので、映画ファンの中ではかなり少ない方です。そのため観てない作品もたくさんありますが、ご容赦願います。