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象牙色の立体

映画などについて書きます。

86分1カットの「ある優しき殺人者の記録」を観た!

「ある優しき殺人者の記録」を観ました。

 

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今の時代、低予算かつ面白い作品を作れる「手持ちのビデオカメラで撮った映像が偶然公開された系の映画(POV系映画)」が流行っています。POV系映画はその性質から当たり外れが沢山ありますが、軽く列挙するだけでも、REC、クローバー・フィールド、クロニクル、エビデンス ー第六地区ー、エンド・オブ・ウォッチ、Affricted(原題)など傑作も量産されています。

 

それの日本映画の最先端がこの「ある優しき殺人者の記録」。

 

 

シチュエーションスリラー+サイコホラーという感じですが、これらの組み合わせに「?????」がプラスされているのが新しい。しかも86分間1カット、実時間と映画内時間が完璧に同期しているのも素晴らしい試み!

 

舐めているかもしれませんが、86分1カットというのは実際はかなり凄いことです。普通の「カットが長い(業界用語で長回し)」と言われる監督たちの作品(アルフォンソキュアロンとか相米慎二とか...)でも、カットが長くて10分から15分です。それが90分ですよ。

 

86分1カットというのは、たとえ編集でそれらしく見せていて実際は数カットに分かれていとしても1カットはかなり長いはずだし、本当に大変なことなのです。何よりも、俳優たちはそのカットの間ずっと演技をし続けなければならない。カメラマン、俳優、その他の人々がリアルタイムで計算された動きをきっちりとしないと長回しは不可能なのです。失敗すれば1から撮り直し。気の遠くなるくらい大変な作業です。「素人でもカットを細かく割れば映画っぽくなるが、長回しは本当のプロでしか撮れない。」と方々で言われているくらい、長回しは難しいのです。

 

...ではなぜわざわざ1カットを長くするのか。

 

簡単に言うとカットを長くすることは、観ている人に緊張感を与える効果があります。映画評論家の町山さんが言うには、観客はカットを割られることで、無意識的に緊張感が途切れてしまうそうです。カットが割られた時点で現実に引き戻されてしまうので「これは映画だな」と思ってしまうのです。

 

また、アクション映画でもさまざまなカット割りが有効に使われています。カット割りについてアプローチが全く異なる二つの素晴らしいアクションシーンを参照しましょう。

 

1カットだけの戦闘シーンの代表例:オールドボーイ


Oldboy The Corridor Fight Scene - YouTube

1カットにすることでより現実味と緊張感のある戦闘シーンになっています。

 

 

 

 

カットを非常に細かく切る戦闘シーンの代表例:ボーン・アルティメイタム


The Bourne Ultimatum Fight Scene - YouTube

スピード感があり、戦闘の達人同士の対決のように見せることに成功しています。

 

 

このように、どちらが好みかは人それぞれですがカットの割り方によってリアリティやスピード感が全く異なってくるんですね。オールドボーイのシーンを観てみると、これをずっと86分間続けることの凄さというのを改めて思い知らされます。

 

 

 

実際にカット数ばっかり数えている評論家の人もいますし、カット数に注目して映画を見てみるというのも面白いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------------------------------ネタバレ------------------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?????=クトゥルフでした。

 

なんだかんだで結局クトゥルフでした!っていうぶっ飛び加減が面白かったです。だって最後にニャルラトホテプ出てくるとは普通思わないもん。殺人鬼から始まって、サイコホラー、オカルト、宇宙人。90分間で廃屋のマンションから宇宙まで行くとは。

 

 

ただし、クトゥルフに説得力を持たせるために、90分ワンカットにして「何を思おうと目の前で起こっていることが真実ですよ!」という説得力を持たせようとしているのだろうけど、ただそれでもラストのあれは、観る人によっては冷めかねないなぁと思います。邪神が人間を媒介として出てきたり、狂気か狂気じゃないか分からない、存在を匂わすだけで良かったような気もします。

 

いや、でもクトゥルフだからこそあれで良いのかな?

いや、でもクトゥルフだったら最後に皆気が狂って死ぬよ?

 

 

どちらにしろラストに謎が残る映画でした。

 

 


映画『ある優しき殺人者の記録』予告編 - YouTube

 

 

 

クトゥルフについては以前の書籍レビューでも触れました。


何かが空を飛んでいる - 映画について書く

 

 

クトゥルフって何?」っていう方々は、ニャル子さんとかを観てください。

 

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まあニャル子さんを観てもクトゥルフについては...よく分からないか。

ギレルモデルトロが「狂気山脈」を映画化してくれるのを待ちましょう。

 

 

新訳 狂気の山脈

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「 クトゥルフの呼び声」が入った全集2も良いかも。

ラヴクラフト全集 (2) (創元推理文庫 (523‐2))

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