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象牙色の立体

映画などについて書きます。

ガラパゴス化した日本が生んだ強烈エンターテイメント「渇き。」

ただ単純な「映画の楽しさ」だけで言えば、

今年度見た作品の中でも最高峰かもしれないです。

 

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「渇き。」は前作「告白」を監督した中島哲也の最新作。

 

原作は、著者である深町秋生が、今は禁止されている精神薬を摂取してヤバい状態でいるときに書かれたという「果てしなき渇き。」です。私は原作は未読です。既読者によると、かなりバイオレンスで救いのない小説のようで、実際中島監督がこの小説を映画化すると発表されたときには、大騒ぎになっていました。

 

しかし、その大騒ぎをはるかに超えた問題作になったのではないでしょうか。

 

とにかくバイオレンス、とにかくハイテンション。

原作のエッセンスだけを受け継いで「観ている人間を毎秒驚かせるような映画を作ろう」ということだけを目的に作られた狂った映画になっていました。もはやストーリーなんてどうでもいい。まるで「この映画のこのシーン超アガるよね!」みたいな数秒間をつなぎ合わせて2時間にしたような映画と表現したらいいのでしょうか。

 

撮影した映像を細かく切断して再構築することで、単純に情報量をあげまくっているので、映画が終わる頃にはすごく疲弊してしまいます。

 

展開は正直破綻しているし、回収していない伏線など多数あるので、後から考えたら、「粗だらけじゃないか!」という感じですが、観ているときは溢れ出てくる情報量の多さに圧倒されまくって、気にする暇もありません。観客は、「クソが!ぶっ殺す!」と叫びながら疾走するハイテンションな役所広司に必死で食らいついていくしかないのです。

 

また、序盤のスタイリッシュなタイトルクレジットとかベタ過ぎてバカバカしいですし、演出もアニメーションを多用するなど、まるで節操がありません。でもその節操のなさこそ、日本のエンタメ感がばりばりにするのです。そう考えてみると、バイオレンス描写も元々は日本の得意技ですし、独特のギトギトしたポップ感もガラパゴス化している日本が培ってきた文化そのものではないでしょうか(でんぱ組.Incの挿入歌とかモロですね)。さらに、強迫的なまでの「毎秒面白くないといけない!」という姿勢は、現在のTV的な思考を感じました。その意味では、この映画、まさに純日本製の強烈なエンターテイメント作品になっています!

  

さらに前半、中盤、後半でころころと作風自体が変わっていくのも、この映画のヤバいところでした。前半は超ポップでハイテンションな、まるでキル・ビルみたいな作風なのに、中盤からは凄惨でグロテスクなシーンが続いて、そうかと思えば、ハードボイルドな刑事物になり、サスペンスのような不穏な空気を作ったかと思えば、ラスト付近ではすごくおとなしい映画になっているので、全容を捉えられない。

 

 

ほかにも、主演の女の子が蠱惑的でかわいい!とか役所広司赤いスイートピーをカーラジオで聞きながらドラッグを打つシーンが最高!とか言いたいことは山ほどありますが、そんなことを言い始めるとキリがないくらい語るところもツッコミどころも満載の映画なのです。

 

 

園子温三池崇史監督のようなバイオレンス全開の映画がみたい人や、「頭がおかしい何か」がみたい人にオススメですので、予告編を観て面白そうだなと思った人はぜひ映画館で。

 

2014年上半期の最後でとんでもない作品が出てきました。

 


映画『渇き。』予告編 - YouTube

 

でも予告編を観てちょっと苦手だなーと思ったら、絶対に観ない方が良いです。

告白と比較しても格段にバイオレンスで、グロ描写たくさんです。