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象牙色の立体

映画などについて書きます。

プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命

広島バルト11で「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」を観ました。

 

 

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プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命

 

 広島バルト11の中でも最も小さいシアター7での上映でした。レイトショーで遅い時間帯だとはいえ、公開二日目にして、私たちを含めて客は5人。私たちを除けば、変なTシャツを着たおっさんとカップルが一組いただけです。カップルはよくこの映画を見に来たな、と思います(彼氏が映画オタクなのかなぁ、それなら握手したいなぁ)。

 

 

カップルはともかくとしても、この状況に私は危機感を感じました。

 

これほどまでに素晴らしい映画が、これほどまでにガン無視されていいのでしょうか。宣伝がほとんどないのが原因なのでしょうが、こんなに面白い映画をスルーさせる訳にはいきません。たとえここで私が頑張ったところで結局スルーされるのでしょうが、それでも記さずにはいられませんでした。

 

年間ベスト級の一本です。

 

 

監督は、デレク・シアンフランス監督。聞き慣れないと思いますが、「ブルーバレンタイン」を撮った監督だと言えば分かる方もいるでしょう。主演は我らがライアン・ゴズリング。今ノリにノッているクールな漢です。

 

あらすじ: 天才ライダーのルーク(ライアン・ゴズリング)は移動遊園地でバイクショーを行う刹那的な日々を送っていたある日、元恋人ロミーナ(エヴァ・メンデス)と再会。彼女がルークとの子どもを内緒で生んでいたことを知ると、二人の生活のためにバイクテクニックを生かして銀行強盗をするようになる。ある日銀行を襲撃したルークは逃走する際、昇進を目指す野心的な新米警官エイヴリー(ブラッドリー・クーパー)に追い込まれるが……。

 

ブルーバレンタインでは、カップルが出会ってから別れるまでを巧い脚本で見せていましたが、今作ではさらに拡張され、父に子供が生まれ、子供が父の真実を知り父の後を追うまでの15年間を描いています。見終わった後に考えてみると、本当に突拍子もないストーリーであるのに気付きましたが、演出と脚本の巧さがそれを感じさせません。少しでも余計なことをすると、超駄作になっているところを、綱渡り的な巧さで話を紡いでいく脚本力と演出力は天才的です。シネフィルもおそらく納得する演出です。

 

 

 

例えば、冒頭のシーン。バイクの曲芸に向かうために歩くライアン・ゴズリングの背中をほぼ密着した状態でカメラが追っていく長回しのシーンで一気に引き込まれます。主人公の焦燥感、そして父親だった男の生き方が背中に現れています。冒頭の長回しに詰まっている父親の生きる姿、性格や焦りが、終盤になってボディブローのように効いてくるのです。

 

そして、ラストシーンでは、父親から受け継いだ、時折見せる凶暴さに悩まされたながらも、同じ父親から受け継いだやさしさによって、息子は旅立ちます。父親と同じバイクにまたがって去っていきます。

 

このシーンは本当に素晴らしいシーンです(Von Iverの曲も良いのです!)。

 

いつの日か、息子は父親と同じ運命を辿るかもしれませんし、辿らないかもしれません。父親は自分のようにはなって欲しくないという想いから、銀行強盗に走ったにもかかわらず。

 


映画『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』予告編 - YouTube

 

いつの時代も父親は、自分のようになるなと思い、

いつの時代も息子は、父親のようになりたいと思うのでしょうか。