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象牙色の立体

映画などについて書きます。

ヴァルハラライジング

ニコラス・ウェンディング・レフン監督作「ドライヴ」で衝撃を受けた僕は,「ドライヴ」より以前のニコラス・ウェンディング・レフン監督作に手を出しました。

 

それが「ヴァルハラ・ライジング」です。

 

北欧神話大好き人間の僕が「ヴァルハラ」と言う単語に惹かれないはずがないです。ヴィンランドサガを大好きな僕が最強の北欧戦士に惹かれないはずがないですね。

ヴィンランド・サガ(12) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(12) (アフタヌーンKC)

 

主人公のワン・アイは理想的に無口で(劇中での発言回数は0回),理想的に片目で,理想的に強い。カッコ良過ぎる。その顔面は,ヴィンランドサガのアシュラッドを思わせる。彼は今までヴァイキングとして活躍していたのでしょうね。

 

 

この映画の評価が優れないのはあまりに説明がなく抽象的なところですが,実際ヴァイキング,ヴァルハラ,キリスト教的な自然支配観について理解していれば単純なヒーローの自己犠牲の物語に置き換えて読み取れます。

 

とりあえず適当にあらすじを内容を書いておきます。

 主人公のワンアイ(一つ目なので)はある民族に囚われて,闘技場で見せ物にされている。恐らくもとは戦士だった男が囚われ,人生に絶望しながら日々を生きる為に戦い,対戦相手を殺し続けているのだろう。

 タイミングを見計らってその民族の子供とともに逃げだしたワンアイは,道中で十字軍と出会い,理想郷であるエルサレムを目指して旅立つことになる。ワンアイは,十字軍がいう魂の救済を信じ,いままで人を殺害してきた自分でも,救われる方法が見つかるのではないかと想い,十字軍に同行することになる。 

 そして苦難の末,十字軍が辿り着いたのは未開の森だった。未開の森は開拓が全くされておらず,先住民が住んでいるが,彼ら十字軍がもともと住んでいた土地よりも明らかに豊かで,食物も豊富である。しかし十字軍はこの土地はエルサレムではなく,この世の地獄だと言い,先住民と戦闘を開始するのであった。なぜだろうか。こんなに豊かな土地であるのに。

 それは,彼らキリスト教徒にとっての理想郷とは,キリストの考えがすべての人々に行き渡り,自然を含めるすべてのものがキリストによって支配された世界であるからだ。そのため,自分たちの住む貧困な土地よりも豊かなはずの未開の地を地獄だと感じ取ったのだろう。そこで十字軍はこの地での無知な(キリスト教の恩恵を受けていない)先住民の抹殺と,新しいエルサレムの建設を提案するのである。 

 ついに十字軍の思考に限界を感じたワンアイは一緒に連れてきた子供とともに,新たな土地に移住することを考える。しかし,最終的には先住民に追いつめられ,ついにはキリスト教的な自己犠牲の精神によって先住民の身代わりになって命を捧げ,子供を救う。このことによってワンアイの魂は皮肉にも救われたのであった。

 

 

...と言った内容でしょうか。

 

 

 物語ではワンアイは全く喋らず,未開の森のシーンではサイケなノイズが流れているだけなので解釈が非常に難しく感じますが,実はこの物語の訴える矛盾と犠牲は,我々のもつ先入観の危険性を痛烈に批判している感じでした。

 

まあ映像がカッコいいから解釈なんてどうでも良いんですがね。

 

 


映画『ヴァルハラ・ライジング』予告編