読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

象牙色の立体

映画などについて書きます。

千年女優

千年女優」。

 

 

遊戯王っぽいタイトルだが、全く別の作品である。

 

 この映画の監督、今敏氏の作品は「パプリカ」「東京ゴッドファーザーズ」を鑑賞済み。終盤の展開が無限大に発散してしまった「パプリカ」や、展開がご都合主義過ぎる「東京ゴッドファーザーズ」を大きく突き放して、この「千年女優」は大傑作だった。

 

あらすじ

 

 映像製作会社社長・立花源也は、かつて一世を風靡した大女優・藤原千代子の半生を振り返るドキュメンタリー制作を依頼された。千代子の大ファンだった立花は若いカメラマンを引き連れ、30年前に人気絶頂の中、忽然と姿を消し、以来公の場に現われなかった千代子の屋敷へ向かった。ようやく姿を現した千代子は、歳は老いても昔の清純な印象を残していた。そして、戸惑いながらも自らの人生を語り始めた。それは、女優になる前、女学生の頃に恋した名も知らぬ男性を、生涯をかけて追い求める壮大なラブ・ストーリーだった。

 

 この映画のストーリー自体は単純な「片思いもの」である。簡単にいうと、学生時代に一瞬だけ出会った男性に片思いを続けるが、すれ違いばかりで逢えることはなく

 ...という超テンプレ展開!!

 

しかし、テンプレ展開をブレずに丁寧に丁寧に描写することで傑作は生まれるのです!

 

 

 主人公は、映画女優の藤原千代子。彼女が片思いしている張本人なのだが、この映画の中で彼女は終始片思いの男性を追いかけることしかしていない。どれだけ大きな障害に遮られても追いかけ続ける何度も探し続ける。この映画は一瞬だけ出会った男性を追いかけ続ける彼女のひたむきさ、悪くいえばあきらめの悪さが見所だ。まさに執念!そう、執念の剣である。どれだけ墓地に送られても,デッキの一番上に戻る。それがこの千年女優の効果だ。

 

 

f:id:solidivory:20121208044632j:plain

学生時代の千代子ちゃん(効果モンスター)

 

ただこれだけではみんな、ベタすぎてそんなにおもしろいか?となる。

 

この映画の最も重要なのは,彼女の執念を映像化した今敏監督の非凡なる想像力。この映画の時間軸は,この映画の時間軸は物語の話し手で引退した女優の藤原千代子を立花源也がインタビューする現代,そして彼女の過去の2つの時間軸で進行する。そして,この時間軸が”すべて同時に”進行するのだ!"現代"での聞き手・立花源也と,"過去"の女優・藤原千代子が同時に画面にいるのである。

 

さらに,映画は過去と未来に加えて,現実と架空までも混合を始める。そして藤原千代子の出演した映画,藤原千代子の過去,藤原千代子の現在の独白が全て混じり合い,同時に進むというカオス。

 

このカオスが最高に面白い!!

 

 

アニメというメディアを最大限に生かした演出に痺れた。

 

千年女優は劇場アニメの最高傑作であった。